私は、都の西　多摩湖のほとり東村山で育ちました。
父には兄弟がいなかったため、母の実家がある中野には、しょっちゅう遊びに来ていました。
その母の実家がペンキ屋でした・・・店の入り口を抜けなければ家に入ることはできません。
入口には、ペンキ缶が並んでいて小さい頃からシンナーの匂いには慣れていたようです。

中学2年生になった頃（世間は、オイルショックでしたが）家を建て替えることになりました。
親類に独立したばかりの大工さんがいてお願いしました。
大工さんの話がおもしろかったので、いろいろと質問したり物を作ることに興味を持ちました。
もちろん塗装は、叔父がやってくれました。

大学生になり運転免許をとると、夏休みや冬休みには現場へ職人さんを送る運転手として
ペンキ屋さんのアルバイトを始めました。
短期間で目まぐるしく変わる現場に驚きつつ、趣味の楽器を購入するため休まず働きました。
大学は、無事4年間で卒業できたのですが、趣味と実益を兼ねる仕叓が見つからず少し安易ですが、
叔父の経営するペンキ屋さんに就職しました。

入社後も驚くことばかりでした。
元請さんや職人さんに叱られることもしばしばありました。
ただ、なんとなくペンキ屋という仕事が好きでした。
どんなに古くなったものでも塗ることによって再生されることがわかります。

先日も90歳を超えるお客さんが、塗り替えたご自宅を見て
“生きる張り合いができた”とおっしゃりました。
仕事をしていてこれほどうれしいことはありません。

時代が変わりただ塗り替えるだけでなく、
お客様の生活を快適にするお手伝いができるような
仕事ができればありがたいと思います。